フィリピンは美しいビーチや温かい人々で人気の観光国ですが、「治安が心配」という声も少なくありません。実際には、地域によって安全度に差があり、都市を選べば安心して旅行を楽しめます。本記事では、最新データをもとにフィリピンの治安状況をわかりやすく解説し、治安の良い都市ランキングTOP5や注意が必要な地域を紹介します。
フィリピンの治安状況

▶ フィリピン全体の治安レベルは「中程度」
フィリピンは東南アジア屈指の観光大国ですが、「治安が悪い」というイメージを持つ人も少なくありません。実際には、地域によって治安状況に大きな差があるのが現実です。
世界的データベース「Numbeo(2025年版)」によると、フィリピン全体の犯罪指数は約45、安全指数は約55。
これは「中程度のリスク」とされ、観光地を中心に警備が行き届いている都市も多く存在します。
▶ 治安が悪化しやすい要因
- 所得格差:都市部と地方の経済格差が大きく、スリ・ひったくりなどの軽犯罪につながる場合があります。
- 観光客の多さ:外国人旅行者を狙ったぼったくりや詐欺は、マニラやセブなど主要都市で報告されています。
- 地域紛争・政治的要因:特にミンダナオ島西部では、過去に武装勢力の活動があり、一部地域は今も注意が必要です。
▶ 旅行者にとっての実際のリスク
- **軽犯罪(スリ・置き引き・詐欺)**が最も一般的。
- 夜間の一人歩き・人通りの少ない路地は避けた方が安全。
- 治安の良いエリアでは、警備員や防犯カメラが多数設置され、犯罪発生率が低い。
つまり、フィリピンの治安は「危険な国」ではなく、エリアを選べば安全に観光を楽しめる国といえます。

▶ 治安を守る取り組みも進行中
フィリピン政府は近年、観光産業の発展に合わせて治安改善にも注力しています。
- 観光警察(Tourist Police)の配置強化
- 空港・港湾での監視カメラシステムの拡大
- 観光都市での防犯啓発キャンペーン
これらの取り組みにより、主要観光地では犯罪発生率が減少傾向にあります。
このように、フィリピンの治安は一概に「悪い」と言えず、都市によって安全度が明確に異なるのが特徴です。
次章では、地域ごとの治安の傾向を見ていきましょう。
地域別の傾向

フィリピンは7,000を超える島々で構成されており、大きく「ルソン島」「ビサヤ地方」「ミンダナオ島」の3地域に分かれます。
これは日本でいえば、関東・関西・九州のような広域ブロックのイメージに近く、それぞれ治安や人の気質、観光スタイルに明確な違いがあります。
ここでは、旅行者が安全に過ごすために知っておきたい地域別の傾向を紹介します。
▶ ルソン島(Luzon Island)|政治・経済の中心で都市ごとの差が大きい

首都マニラを擁するルソン島は、フィリピンの政治・経済・交通の中心地です。そのため人口が集中し、都市ごとの治安格差も最も大きい地域です。
マニラ首都圏の一部(エルミタ地区やケソン市北部)では、スリ・置き引き・詐欺などの軽犯罪が報告されています。
一方で、**マカティ市やボニファシオ・グローバルシティ(BGC)**といった再開発エリアは警備体制が整っており、外国人旅行者でも安心して滞在できます。
✅ ポイント:
・マニラ全域が危険ではなく、エリアごとの見極めが重要。
・ショッピングモールやホテル街は防犯意識が高く、比較的安全。
・夜間の移動はGrab(配車アプリ)を利用するのが安心。
▶ ビサヤ地方(Visayas)|穏やかな気質と安定した治安

フィリピン中部に位置するビサヤ地方は、セブ島・イロイロ島・ボホール島など人気観光地が集まる地域です。
人々の性格は温厚で、ルソンよりもゆったりとした雰囲気が漂います。
特にイロイロ市は治安が良いことで知られ、犯罪発生率も国内最低水準。
セブ島でも主要観光エリア(マクタン島・ITパーク周辺)は警備が強化されており、観光客が安心して過ごせます。
✅ ポイント:
・観光地中心は警備がしっかりしており、スリ被害も少ない。
・地方の港や市場では現金管理に注意。
・親切な地元住民が多く、旅行者への対応もフレンドリー。
▶ ミンダナオ島(Mindanao)|一部地域は注意が必要だがダバオ市は例外的に安全

フィリピン南部のミンダナオ島は、自然豊かでリゾート開発が進む一方、過去に紛争の影響を受けた地域もあります。
外務省も一部地域に「渡航注意」を発出しており、島の西部(サンボアンガ周辺など)は特に慎重な判断が必要です。
しかし、同じミンダナオ島でもダバオ市は国内で最も治安が良い都市の一つとして有名。
前大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏が長年市長を務め、厳しい治安政策を推進した結果、犯罪率が著しく低下しました。街中の監視カメラ網や警察の常時パトロールにより、市民・旅行者の両方が安心して暮らせる環境が整っています。
✅ ポイント:
・ミンダナオ=危険ではなく、「地域による差」が非常に大きい。
・ダバオ市は夜でも人通りが多く、国内外の観光客にも人気。
・一方で離島部や辺境地帯は今も警戒が必要。
このように、フィリピンは「どの島・都市を選ぶか」で安全性が大きく変わる国です。
次章では、旅行者からの評価が高い「治安の良い都市ランキングTOP5」を紹介します。
フィリピンで治安が良い都市ランキングTOP5
観光やビジネスで訪れる人にとって、「どの都市が安全か」は最も気になるポイント。
ここでは、世界治安データサイト「Numbeo」や現地旅行者の口コミ、各都市の警備体制をもとに、治安が良いとされる都市TOP5を紹介します。
🥇 第1位:ダバオ市(Davao City)|国内トップクラスの治安を誇る都市

フィリピン南部・ミンダナオ島にあるダバオ市は、国内で最も治安が良い都市として知られています。
元大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏の地元であり、市長時代に徹底した治安改革を実施。
- 監視カメラ網「911 Davao Emergency Response」システムの導入
- 夜間外出や飲酒トラブルへの厳格な取り締まり
- 公共エリアの警備強化
などにより、犯罪発生率が全国平均を大きく下回る水準に。
旅行者からも「夜でも安心して歩ける街」として高評価を得ています。
✅ 安全ポイント
・市内中心部は警備が行き届き、女性の単独旅行者も多い
・市民の防犯意識が高く、トラブル時の通報対応も迅速
⚠️ 注意点
・一部郊外では交通インフラが整っておらず、夜間移動はGrab推奨。
🥈 第2位:イロイロ市(Iloilo City)|穏やかで人柄の良い「平和都市」

フィリピン中部・ビサヤ地方の港湾都市。「City of Love(愛の街)」とも呼ばれるほど、市民が穏やかで親切なことでも有名です。
犯罪発生率は全国でも低水準で、観光客に対するトラブルがほとんど報告されていない点が特徴。
教育レベルが高く、外国人に慣れた住民が多いため、安心して滞在できます。
✅ 安全ポイント
・観光客への詐欺・ぼったくりが少ない
・街が清潔で歩きやすく、治安パトロールも定期的に実施
⚠️ 注意点
・夜間の港湾エリアや人通りの少ない裏通りは避けること。
🥉 第3位:ドゥマゲテ市(Dumaguete City)|“ジェントルピープル”の街

「The City of Gentle People(優しい人々の街)」という愛称を持つ穏やかな地方都市。大学が多く、学生と外国人リタイア層が共存する国際的な小都市です。
Numbeoの2025年データでは、安全指数が全国平均より約20ポイント高い水準。フィリピン国内メディア(Rolling Stone Philippines)でも「最も安全な都市の一つ」として紹介されました。
✅ 安全ポイント
・市民の英語力が高く、トラブル時に相談しやすい
・交通量が少なく、街の雰囲気が穏やか
⚠️ 注意点
・観光地周辺でのぼったくり価格には注意(値段交渉は必須)。
🏅 第4位:マカティ市(Makati City)|首都圏で最も整備された高級ビジネス街

メトロマニラの中でも特に安全とされるのがマカティ市。高層ビル群や外資系企業が並び、警備員の配置・監視カメラの数が国内最多レベルです。
観光客向けのホテルや商業施設が集まり、首都圏でも最も清潔で整然とした街並み。ビジネス出張者や長期滞在者からの人気も高いエリアです。
✅ 安全ポイント
・警備体制が徹底され、深夜でも大通りは人通りがある
・モール内やレストラン街ではスリ被害がほとんどなし
⚠️ 注意点
・裏通りや薄暗いエリアでは油断しない(マニラ全体共通の注意)。
🎖 第5位:バコロド市(Bacolod City)|“微笑みの街”で安心できる暮らし

「City of Smiles(微笑みの街)」の愛称を持つ、ネグロス島の中心都市。市民がフレンドリーで、外国人旅行者にも温かく接してくれることで知られています。
観光客の増加に合わせて市警察が観光パトロールを強化しており、治安・生活コスト・快適さのバランスが取れた街として人気上昇中。
✅ 安全ポイント
・市内の治安は安定しており、トラブル発生率が低い
・住宅街・商業区ともに落ち着いた雰囲気で過ごしやすい
⚠️ 注意点
・夜間に人気の少ない通りを歩く際は注意(地方都市共通)。
このように、**「都市を選べばフィリピンは安心して滞在できる国」**です。
次章では、反対に「注意が必要な都市・エリア」についても解説していきましょう。
治安に注意が必要な都市・地域について

フィリピンは地域によって安全度に差があるため、「危険な国」というよりも**“注意が必要なエリアがある国”**と捉えるのが正確です。
ここでは、犯罪やトラブルが発生しやすいとされる都市・地域、そして旅行者が気をつけるべきポイントを紹介します。
▶ マニラ首都圏(Metro Manila)|エリアによって安全度が大きく異なる

マニラはフィリピンの玄関口として多くの旅行者が訪れる一方、エリアによる治安の差が最も大きい都市でもあります。
再開発が進むマカティ市やBGC(ボニファシオ・グローバルシティ)は非常に安全ですが、エルミタ地区やマラテ地区の一部ではスリ・置き引き・詐欺被害の報告が今もあります。
✅ 気をつけたいポイント
・夜間にバー街や路地裏へ一人で行かない
・路上で声をかけてくる客引きや両替商には注意
・タクシー利用時はGrabなどの公式アプリを使用
💡 補足:
昼間は観光地やショッピングモールも多く、安全に過ごせます。
“行動エリアを絞れば安全”というのがマニラ観光のコツです。

▶ ケソン市(Quezon City)・カロオカン市(Caloocan City)周辺

メトロマニラ北部に位置するこれらのエリアは、住宅街が広く庶民的な地域が多い反面、夜間は街灯が少なく、路上犯罪(ひったくり・強盗など)のリスクが指摘されています。
✅ 気をつけたいポイント
・夜間や早朝の徒歩移動を避ける
・高価なアクセサリーやスマホの露出は控える
・現地の知人やドライバー同行がある場合のみ訪問を
▶ ミンダナオ島西部(Zamboanga・Cotabato周辺)

ミンダナオ島の西部地域では、依然として武装勢力の影響や誘拐事件のリスクがあるため、外務省も「渡航中止勧告」「不要不急の渡航は控える地域」としています。
ただし、同じ島のダバオ市は例外的に安全であり、「ミンダナオ=危険」という一括りは正確ではありません。
訪問の際は、現地情勢を在フィリピン日本大使館の最新情報で確認することが重要です。
✅ 気をつけたいポイント
・西部・南部の農村地帯には立ち入らない
・現地住民の案内なしに郊外へ出ない
・公共交通機関ではなく、信頼できるツアー利用を


▶ 観光地での“油断”にも注意

観光都市(例:セブ、ボラカイ、マニラ中心部など)でも、油断が原因のトラブルが起きることがあります。
特に以下のようなケースには注意が必要です。
- 海辺やプールでの貴重品放置
- 路上での両替・声かけ詐欺
- 深夜のバーでの過剰請求トラブル
✅ 旅行者へのアドバイス
・荷物は必ず身体から離さない
・怪しい誘いはすべて断る
・飲み物を置いたまま席を離れない(薬混入トラブル防止)
このように、フィリピンでは都市によって治安が悪いわけではなく、特定エリアや行動でリスクが高まるのが特徴です。
次の章では、旅行者が知っておくべき「安全対策と行動のポイント」を詳しく解説します。
旅行者が押さえておくべき注意点

フィリピンは都市を選べば安全に観光を楽しめる国ですが、油断は禁物です。旅行中のちょっとした行動で、トラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、旅行者が特に気をつけておきたいポイントを具体的に解説します。
▶ 夜間の外出はできるだけ控える
夜間は人通りが少なく、スリやひったくりなどの軽犯罪が発生しやすくなります。
マニラやセブなど大都市では22時以降の徒歩移動は避け、Grab(配車アプリ)で移動するのが安全です。
✅ ポイント
・暗い路地や公園には近づかない
・バーやクラブでは飲み物の管理を徹底
・深夜営業のコンビニでも貴重品は体から離さない
▶ 交通手段の選び方にも注意
公共交通機関の中でも、ジプニー(乗合バス)や路上タクシーはスリ・ぼったくり被害の報告があります。
最も安全なのは、Grabアプリでの配車やホテルが手配する車両の利用です。
✅ 安全な移動手段リスト
- Grab(公式配車アプリ)
- ホテル送迎車
- 信頼できるツアーバン・レンタカー
⚠️ 避けた方がよい手段
- 路上で客引きしているタクシー
- 深夜のジプニー乗車
- 無許可トライシクル(特に地方部)
▶ 貴重品の管理を徹底する
スリ・置き引きは観光地やモール内でも起きることがあります。
財布・スマートフォンは体の前側で管理し、バッグはチャック付き+斜めがけが基本です。
✅ 安全管理のコツ
・現金は必要最低限だけ持ち歩く
・パスポート原本はホテルのセーフティボックスへ
・クレジットカードは複数枚に分ける
▶ 両替・買い物トラブルに注意
街中の路上両替商や非公式カウンターでは、偽札や金額ごまかしのトラブルが報告されています。両替は必ず銀行・ショッピングモール内・ホテル内の正規カウンターで行いましょう。
また、ショッピングでは表示価格と請求額が異なるケースもあるため、支払い前にレシートを確認する習慣を。
✅ 安全対策
・「Too good to be true(うますぎる話)」は疑う
・レストランではチップ込みか確認
・カード支払い時は店員の動きを見ておく
▶ 人との接し方に注意
フィリピン人はフレンドリーですが、距離感を保つことも大切です。
路上で急に話しかけてくる人や、観光案内を申し出る人の中には、詐欺目的の場合もあります。
✅ 安全な対応法
・「NO, thank you」と笑顔で断る
・不安を感じたらすぐ人通りの多い場所へ
・SNSやマッチングアプリ経由の初対面の誘いには慎重に
▶ 在フィリピン日本大使館の情報をチェック
旅行前・滞在中は、外務省の「海外安全ホームページ」や在フィリピン日本大使館の公式サイトで最新情報を確認しておくと安心です。
災害・デモ・犯罪傾向など、現地メディアよりも正確な情報を得られます。
このように、基本的な防犯意識を持つだけで、多くのトラブルを回避できます。
次章では、旅行者からよく寄せられる**Q&A(FAQ)**形式で、治安に関する疑問をまとめて解説します。
Q&A(FAQ)

❓ Q1:フィリピンは夜歩くと危険ですか?
都市によりますが、夜間の徒歩移動は控えた方が安全です。特に人通りの少ない通りや、バー街・繁華街の裏道ではスリや置き引きのリスクが高まります。
移動が必要な場合は、Grabなどの配車アプリを利用しましょう。マカティやBGCなどの再開発エリアでは比較的安全ですが、油断は禁物です。
❓ Q2:女性一人旅でも大丈夫ですか?
十分注意すれば問題ありません。マカティ・イロイロ・ダバオなどは女性の単独旅行者にも人気で、警備員が多く安心です。
ただし、夜間の外出やバーでの飲酒には注意。露出の多い服装や高価なアクセサリーは避け、控えめな印象を意識しましょう。
❓ Q3:セブ島は安全ですか?
観光地として整備されているため、主要エリア(マクタン島・セブ市中心部)は安全です。
ただし、夜間に繁華街や裏通りへ行くのは避けましょう。
タクシー利用はGrabを推奨。港周辺やローカル市場ではスリが発生しやすいため、貴重品の管理を徹底してください。
❓ Q4:詐欺やぼったくりの手口にはどんなものがありますか?
代表的なのは以下の3つです。
- 両替詐欺:金額をごまかす、偽札を渡す
- バーの過剰請求:「チャージ料」「ドリンク代」などを上乗せ
- 声かけ詐欺:「観光案内」や「激安ツアー」を装うケース
→ 対策は「路上では取引しない」「怪しい話は断る」「事前に料金を確認する」です。
❓ Q5:空港やホテルでは安全ですか?
基本的に安全です。空港内・ホテル内は警備が行き届いていますが、タクシー乗り場や駐車場では油断しないこと。
「荷物を持つ」と近づく人物には注意し、必ず公式カウンター・正規タクシー乗り場を利用しましょう。
❓ Q6:スマホの置き忘れ・盗難にあった場合はどうすれば?
まずは**最寄りの警察署(Police Station)**へ行き、被害届(Police Report)を作成します。その後、滞在ホテル・航空会社・保険会社へ連絡。
観光地では「Tourist Police」が常駐しているため、英語での対応も可能です。
❓ Q7:チップを渡さないとトラブルになりますか?
いいえ。チップはあくまで“気持ち”であり、渡さなくても問題ありません。
ただし、高級ホテルやレストランでは10〜20ペソ程度を渡すとスマートです。チップを断られても失礼ではないため、自然体で大丈夫です。
このように、基本的な注意を守れば大きなトラブルに巻き込まれることはほとんどありません。

