フィリピンでは、日本とは大きく異なる交通ルールや道路事情が多く、初めて訪れる旅行者は戸惑う場面が少なくありません。車は右側通行で、横断歩道の優先度、信号の守られ方、クラクションの使い方など、知っておくべきポイントがたくさんあります。この記事では、日本との違いを交えながらフィリピンの交通ルールをわかりやすく解説します。
フィリピンの交通ルール

フィリピンの交通ルールは、日本と根本的に似ている部分もありますが、実際の道路事情は大きく異なります。
車は右側通行で、歩行者優先の意識が弱く、交通の“流れ”に合わせて判断する場面が非常に多いのが特徴です。
信号や標識の意味はほぼ同じでも、現地ではそれが厳密に守られていないことも多く、旅行者は日本と同じ感覚で行動すると危険につながります。
まずは、最低限知っておくべき基本ルールや、日本と特に違うポイントを押さえておくことが大切です。
右側通行で進む国
フィリピンでは車は右側通行、日本とは反対方向です。道路を渡る際、確認する方向が逆になるため、慣れない旅行者は特に注意が必要です。
また、右折と左折の動き方が日本と逆になるため、交差点での車の動きを読むのに少し時間がかかります。
観光地や大通りでは交通量も多いため、まずは「右側通行」という前提をしっかり意識することが安全につながります。
信号のルールと運用の緩さ
信号の設置場所や意味そのものは日本とほぼ同じですが、フィリピンでは信号がない交差点も多く、特に地方では車やバイク同士がアイコンタクトやクラクションで意思疎通して進みます。
信号が赤でも車が流れのまま進むことがあるため、歩行者は「信号が青だから安全」と思わないことが重要です。道路では常に周囲の車を確認しながら動く意識が欠かせません。
横断歩道でも歩行者優先にならない
日本では横断歩道に人がいれば車は必ず停まりますが、フィリピンではほとんどの車がそのまま走り抜けていきます。
そのため、歩行者は車の動きを見て、自分で“渡れるタイミング”を判断して横断する必要があります。
主要道路でも歩行者優先が徹底されていないため、旅行者は日本の感覚のまま道路に出ないことが大切です。
バイクのすり抜けや車線の曖昧さ
フィリピンではバイクが車の間をすり抜けて走るのは日常的で、車線をまたぐように走行することも珍しくありません。
車の運転手も流れの中で頻繁に車線変更を行うため、車線という概念が日本ほど明確に守られていない場面がよくあります。
歩行者は道端にいてもバイクが近くを通る可能性があるため、道路の端を歩く際にも注意が必要です。
日本とは違う交通事情・マナー

フィリピンの交通は、日本と同じ「法律上のルール」だけでは動いていません。
現地では“流れ”“空気”“合図”を重視する独自のマナーがあり、日本の感覚のままでいると危険に感じる場面が多くあります。
ここでは、特に旅行者が驚きやすい交通マナーの違いをわかりやすく説明します。
クラクションはコミュニケーションの一部
フィリピンではクラクションを頻繁に鳴らしますが、これは怒りや注意ではなく「今から行くよ」「右側通るね」「ありがとう」といった軽いサインです。
日本ではクラクション=トラブルのイメージが強いですが、フィリピンではむしろ安全のための意思表示として使われています。
道路に出ると常にクラクションの音が聞こえますが、これは“交通をスムーズにするため”の文化で、現地では自然な行為です。
車線変更が多く、バイクのすり抜けが当たり前
フィリピンでは車線があっても、その通りに走るとは限りません。車は流れに合わせて頻繁に車線変更し、バイクは車の横や間をすり抜けながら走行します。
特に主要道路では、車・バイク・バスが入り乱れるため「車線はあくまで目安」という状態になることがよくあります。
歩行者が道路の端を歩く場合でも、バイクが急に横をすり抜けることがあるため注意が必要です。
歩行者優先の意識が弱い
日本では横断歩道に歩行者がいれば車は必ず止まりますが、フィリピンではその文化がほとんどありません。
車はスピードを落としてくれますが、完全に停まらずそのまま通過することが多いため、歩行者が“自分でタイミングを見て渡る”必要があります。
信号が青でも必ずしも安全とは限らないため、旅行者は信号だけで判断せず、周囲の車の動きをしっかり確認して横断するのが鉄則です。
騒音や混雑に対する許容度が高い
ホーンの音、バイクのエンジン音、大通りの混雑……フィリピンの道路は日本と比べて非常に賑やかです。
しかし現地ではこれを“普通のこと”として受け入れており、騒音に対する苦情もほとんどありません。
日本の静かな道路に慣れている人は最初驚きますが、これは都市部で特に顕著なフィリピン独自の交通文化です。
フィリピンの主要な交通手段と乗り方ルール

フィリピンには、日本ではあまり見られない独特の交通手段が多く、乗り方のルールやマナーもそれぞれ異なります。
ジプニーやトライシクルは地域の生活に密着しており、旅行者にとっても利用しやすい一方で、仕組みを理解していないと戸惑うことがある乗り物です。
ここでは、代表的な交通手段ごとの特徴や乗り方のポイントをわかりやすく解説します。
ジプニー(Jeepney)の乗り方と注意点
フィリピンの象徴とも言える乗り物がジプニーです。車体の横から乗り降りするスタイルで、料金は非常に安く、地域住民の主要交通手段になっています。
乗車の際は、道路脇で手を上げて合図し、停車したら後ろから乗り込みます。料金は目的地や距離によって変わりますが、運賃箱がないため、車内で現金を手渡しするのが基本。
「Bayad po(支払いお願いします)」と言いながら前方の運転手へ回す文化があり、周囲の乗客が手伝ってくれます。
ただし、混雑時はスリが発生しやすいため、旅行者にはあまり推奨されません。利用する場合は昼間・治安の良いエリアに限定するのが安心です。
トライシクル(Tricycle)の仕組みと利用方法
トライシクルはバイクにサイドカーが付いた乗り物で、近距離移動に便利です。街中や住宅街で見つけやすく、観光客でも気軽に利用できます。
料金は基本的に事前交渉で決まり、明確な運賃表がない場所も多いため「いくら?」と確認してから乗るのが鉄則です。
また、乗車人数が多すぎたり、雨の日にバランスが悪くなったりするケースもあるため、安全のため無理な乗車は避けましょう。
トライシクルは細い道も入れるため、リゾートエリアで特に重宝されます。
バス(City Bus / Provincial Bus)の特徴とポイント
都市部ではエアコン付きのバスが走っており、ジプニーよりも快適に移動できます。
市内バスはバス停が明確ではないこともあり、道路脇で待って手を上げると停まるタイプも存在します。
長距離バス(Provincial Bus)は冷房が強いため、上着が必須。荷物を預ける場合は、チケットの控えを必ず受け取るようにしましょう。
タクシー利用の基本と注意点
フィリピンのタクシーは日本よりはるかに安く、移動手段として人気です。
ただし中にはメーターを使わず高額請求してくるドライバーもいるため、「メーターオン、プリーズ」と事前に確認することが重要です。空港で利用する場合は、公式タクシー(White Taxi / Yellow Taxi)を使うと安全性が高く、トラブルも少なくなります。
Grab(グラブ)が最も安全で便利
旅行者にもっともおすすめの移動手段が配車アプリのGrabです。料金が事前に表示され、ドライバー情報も確認できるため、ぼったくりや交渉の心配がありません。
夜間の移動や初めての地域では、Grabの利用を最優先にすると安心して移動できます。
マニラ・セブの交通事情の特徴

フィリピンの中でも、マニラとセブは交通事情が大きく異なります。どちらも観光客が訪れる主要都市ですが、道路環境や渋滞の傾向、利用しやすい移動手段などに明確な特徴があります。
旅行者が安全に移動するためには、それぞれの街の“交通のクセ”を理解しておくことが大切です。
マニラは世界有数の渋滞都市
マニラ首都圏は「世界最悪の渋滞都市」と言われるほど交通量が多く、朝夕のラッシュはほとんど動かないレベルになります。
主要道路で事故が起きると数時間単位で混乱し、タクシーやGrabでも到着時間が読めません。
また、バイク・バス・ジプニーが複雑に入り混じるため、道路の混雑は常に変化しています。移動の際は、時間に余裕を持つことが不可欠です。
マニラの夜間移動はGrabが必須
マニラは夜になると交通量が減る一方で、歩行では危険なエリアが増えるため、夜間移動はGrab推奨です。
タクシーの客引きに近づかず、必ず公式アプリを利用することで安全性が高まります。観光客にとっては「夜の徒歩移動は避ける」ことが鉄則です。

セブはバイクやトライシクルが多い
セブ市内はマニラほど大渋滞ではないものの、バイクの台数が圧倒的に多く、道路の端を高速ですり抜けていくため歩行者は注意が必要です。
住宅街やローカルエリアではトライシクルが多く走っており、短距離移動に便利ですが、安全性にばらつきがあるため無理な乗車は避けましょう。
また、坂道の多い地域ではブレーキの弱い車両もあるため、交通量の少ない道での移動は慎重に判断することが重要です。
セブの観光地での交通手段
セブのリゾートエリア(マクタン島)ではタクシーとGrabが中心で、観光客はほぼこれらを利用します。
ビーチ沿いは道路が一本しかない場所が多く、イベント時や夕方は渋滞になりやすい点も覚えておくと便利です。
ローカルバスやジプニーもありますが、旅行初心者にはGrabが最も安心です。

観光客が気をつける交通トラブルと安全対策

フィリピンでの移動は、基本ルールを知っていれば決して危険ではありませんが、日本とは交通環境が大きく異なるため、旅行者が巻き込まれやすいトラブルがいくつかあります。
ここでは、特に遭遇しやすいポイントと、安全に移動するための具体的な対策をわかりやすく紹介します。
ぼったくりタクシーへの対処法
観光地や繁華街では、メーターを使わず高額料金を請求してくるタクシーが一部存在します。乗車前に「メーターオン?」と確認し、拒否された場合は乗らないのが基本です。
空港やショッピングモールなどでは、正規タクシー乗り場を利用することでトラブルを避けられます。最も安全で確実なのはGrabの利用で、料金が事前表示されるため安心感があります。
スリ・置き引きに注意
混雑したバスやジプニー、トライシクル周辺では、スリが発生しやすくなります。
スマホを手に持って歩いたり、リュックを背負ったままにしていると狙われやすいため、バッグは前に抱える・スマホは片手に出さないなどの基本対策が重要です。
特にジプニーでは車内が密集するため、旅行者にはあまり推奨されません。
夜間の徒歩移動は避ける
マニラやセブでは、夜間に徒歩で移動すると危険なエリアが多くなります。街灯が少ない道や、観光客が少ない場所は特に注意が必要です。
夜に外出する場合は、必ずGrabを利用し、タクシーの客引きには近づかないようにしましょう。ホテルの周辺環境も事前に調べておくと、より安全です。
渋滞による移動遅延に注意
マニラをはじめ、大都市では渋滞が日常的に起こるため、時間に余裕を持って移動することが大切です。
特に空港へ向かう場合は、フライトの3時間前行動では間に合わない場合があるため、早めの出発を心がけましょう。
渋滞中は停車中の車両に近づく人もいるため、車内から窓を開けないなどの基本的な安全対策も必要です。

まとめ

フィリピンの交通ルールは、日本と似ている点もありますが、実際の道路事情やマナーは大きく異なります。
右側通行であること、信号や横断歩道が必ずしも守られないこと、バイクのすり抜けや車線変更が頻繁に行われることなど、現地の道路は“流れに合わせて動く文化”の上に成り立っています。
また、ジプニーやトライシクルなど独特の交通手段は魅力的ですが、仕組みを理解していないと戸惑う場面も多く、旅行者は無理に利用せず、まずはGrabや公式タクシーを選ぶのが安心です。
マニラやセブといった都市ごとに交通事情も大きく異なり、渋滞の激しさや夜間の安全度には差があります。どの地域でも共通して大切なのは、周囲の車の動きをよく観察し、危険なエリアや時間帯を避けながら移動することです。
基本ルールと注意点を理解しておけば、フィリピンでの移動はぐっと安全で快適になります。
旅行前に本記事の内容を押さえ、安心してフィリピンの街を移動してみてください。

