フィリピンに持ち込み禁止の食品とは?知っておくべき注意点

フィリピン 持ち込み禁止

フィリピンに行く際、「日本の食品を持って行きたい」と思う人は多いでしょう。しかし、フィリピンでは動植物検疫が厳しく、肉製品や果物など多くの食品が持ち込み禁止となっています。知らずに持ち込むと、空港で没収されたり罰金の対象になることも。この記事では、フィリピンに持ち込み禁止の食品一覧と、持ち込み可能な例、申告の注意点を解説します。

目次

フィリピンに食品を持ち込むときの基本ルール

フィリピン

フィリピンでは、動植物検疫(Quarantine)税関(Customs)による輸入管理が厳しく行われています。

これは、感染症や害虫の侵入を防ぐために設けられた制度で、観光客が持ち込む少量の食品であっても規制の対象になります。

フィリピンの主な検疫・管理機関

  • DA(Department of Agriculture/農業省):農産物・動物製品の管理
  • BAI(Bureau of Animal Industry/動物産業局):肉類・卵・乳製品などの動物由来食品を監督
  • BPI(Bureau of Plant Industry/植物産業局):果物・野菜・植物・種子などを管理
  • BOC(Bureau of Customs/税関):すべての輸入品を通関で審査

これらの機関によって、食品の持ち込みには

  • 「完全禁止」
  • 「許可証が必要」
  • 「少量なら免除」

などの区分が設けられています。

申告義務と没収の可能性

すべての食品は、税関申告書(Customs Declaration Form)申告が必要です。

「少量だから大丈夫」と申告せずに持ち込んだ場合でも、空港検査で見つかれば没収対象になります。

特に、

  • 肉製品
  • 果物
  • 乳製品

はリスクが高く、未申告での持ち込みは罰金や入国トラブルの原因になるため注意が必要です。

免税範囲

個人旅行者の場合、衣類や土産品などに限って免税枠(約10,000ペソ相当)がありますが、食品は検疫対象であり免税とは別扱いになります。

したがって、数量や金額に関わらず「禁止品目」は持ち込みできません。

持ち込み禁止の食品一覧

フィリピン

フィリピンでは感染症や害虫の侵入を防ぐため、動物由来・植物由来の多くの食品が原則として持ち込み禁止です。

特に肉製品や果物、生鮮食品は厳しく制限されています。ここでは、空港で没収されやすい代表的な食品を項目別に紹介します。


🥩 肉類・肉製品(完全禁止)

ASF(アフリカ豚熱)や口蹄疫などの感染防止のため、肉および肉を原料とするすべての製品が禁止されています。

対象となるのは、以下のようなものです:

  • 牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、鴨肉などの生肉・冷凍肉・乾燥肉
  • ソーセージ、ハム、ベーコン、サラミ、レトルトミート製品
  • カップ麺・スープ類に含まれる“ビーフ/チキンエキス”入りの粉末スープ
  • 肉を使用したレトルトカレーや缶詰、ジャーキー類

肉エキスや動物性油脂を使用している食品も、成分表示次第では没収対象になることがあります。


🧀 乳製品・卵製品

動物由来である乳製品や卵も、未加工の状態では持ち込み禁止です。

ただし、商業包装された粉ミルクやスナック菓子に含まれる乳成分は一般的に問題ありません。

  • 牛乳・チーズ・ヨーグルト・バター
  • 卵・生卵・卵液・自家製マヨネーズ
  • 卵を使用した未加熱スイーツやケーキ類(特に手作り品)

🍊 果物・野菜・植物・種子

フィリピンでは、植物検疫が非常に厳格です。

果物や野菜、植物の種・苗などは、害虫や病気の侵入を防ぐため許可証なしでは持ち込み禁止です。

  • 生の果物(りんご、みかん、ぶどう、メロンなど)
  • 野菜類(キャベツ、ニンジン、玉ねぎなど)
  • 植物の種・苗、ドライフラワー
  • 生のスパイス・香草(生バジル、生唐辛子など)

ただし、市販の乾燥ハーブ・ティーバッグ・粉末調味料などは商業包装されていれば許可される場合もあります。


🐟 海産物・水産加工品

魚介類も衛生管理の対象となり、生魚・未処理の乾燥品は基本的に禁止されています。

特に海苔・干物などの未包装製品は要注意です。

  • 生魚、貝類、イカ、エビなどの生鮮・冷凍品
  • 未包装の干物、魚粉、魚エキス
  • 海藻類(未処理の海苔・昆布など)

ただし、真空パック・商業包装済みの海苔やツナ缶などは通過できることが多いです。


🍱 加工食品・インスタント食品

「加工済みだから安全」と思いがちですが、原材料に動物成分が含まれている場合は注意が必要です。

  • 肉エキス入りのカップ麺(ビーフ/チキン味など)
  • 肉入りレトルトカレー・スープ
  • 肉を使ったおにぎり・サンドイッチ・弁当類
  • 真空パックされていない惣菜や手作り食品

特に空港職員が「肉エキス」「ビーフ」「チキン」といった文字を確認した場合、成分量に関わらず没収されるケースが多く報告されています。

持ち込み可能だが制限がある食品

フィリピン

すべての食品が禁止というわけではなく、条件を満たせば持ち込み可能なものもあります。

ただし、検疫官の判断によって没収されることもあるため、ここで紹介する食品でも**「100%持ち込める」とは限らない**点に注意してください。


🧃 商業包装・密閉パックされた食品はOKの可能性あり

フィリピン税関(BOC)および動植物検疫局(DA)は、未開封・商業包装・長期保存可能な食品については、少量であれば個人用として持ち込みを許可しています。

具体的には以下のようなものです。

  • スナック菓子(ポテトチップス、クッキー、キャンディなど)
  • チョコレート・飴・ガムなどの菓子類
  • コーヒー・紅茶・インスタントドリンク
  • レトルト食品(動物成分を含まないもの)
  • 調味料・ふりかけ・乾燥海苔(真空パック)

これらは商業的に包装された製品であり、未開封状態であれば、通常は検疫に引っかかることは少ないです。


🍬 お土産用の食品は「少量・個人使用」に限定

家族や友人へのお土産としてお菓子や調味料を持ち込む場合、「販売目的ではない」ことが前提条件です。

また、数量が多いと税関で商用とみなされ、課税または没収の対象になることがあります。

例:

  • チョコレート → 10個以内程度なら個人使用と判断されやすい
  • インスタント食品 → 数個までならOKだが、肉味系は不可
  • 飲料・缶詰 → 1〜2本程度なら問題なし(内容物に注意)

🍫 日本製スナック・レトルトは「成分表の英語表記」が重要

英語で成分が表示されていない場合、検疫官が中身を判断できず没収される可能性があります。

日本語パッケージのみの場合は、「Beef extract」や「Chicken powder」といった単語を避けた食品を選ぶのが安全です。


⚠️ 注意:肉エキス入り食品は小量でもNG

たとえ商業包装であっても、「ビーフ味」「チキン味」などの記載があるカップ麺やスープは肉由来成分が含まれているため禁止です。

没収例が特に多いのが以下の食品:

  • カップヌードル(ビーフ・チキン・ポーク味)
  • カレー・ハヤシライスのレトルト
  • 肉入りおにぎり・パウチご飯

✈️ スーツケースに入れる前のチェックポイント

  1. 成分表に「meat」「chicken」「beef」「pork」などがないか確認
  2. 開封済み・手作り食品は入れない
  3. 生もの・冷凍・未包装のものは避ける
  4. 英語表記がある商業包装品を選ぶ
  5. 念のため、申告書には「snacks / instant food」と記載しておく

申告・検疫の手続きと罰則

フィリピン

フィリピンでは、すべての食品・植物・動物関連品の持ち込みは、量の多少に関わらず申告が義務づけられています。

検疫手続きを正しく理解しておかないと、空港で思わぬトラブルに発展することがあります。


🧾 空港到着後の流れ

  1. 税関申告書(Customs Declaration Form)の記入
     入国時に配布される申告書に、「Yes」にチェックを入れて食品・植物などの持ち込みを申告します。
     申告を怠ると、後の検査で発覚した際に罰則対象となります。
  2. 荷物検査(Baggage Inspection)
     到着エリアでは、X線検査やランダムチェックが行われます。
     肉類や果物などが検出されると、その場で開封確認され、該当物は没収されます。
  3. 検疫官による確認(Quarantine Officer)
     検査で問題があると判断された場合、BAIまたはBPIの職員が内容を確認します。
     許可証がないもの・禁止品と判断されたものは、その場で没収・破棄となります。

🚫 申告をしなかった場合のリスク

申告義務を怠り、禁止食品が見つかった場合は、食品没収だけでなく罰金や入国拒否の対象となることがあります。

  • 没収処分(Confiscation):その場で破棄される
  • 罰金(Fine):数千〜数万ペソ(事例により異なる)
  • 再入国拒否・ブラックリスト登録:悪質な場合、今後の入国に影響することも

特にASF(アフリカ豚熱)発生国からの肉類持ち込みに関しては、**「意図的な違反」**と見なされると非常に厳しい処罰を受けます。


✈️ よくある没収事例

  • カップ麺(チキン味・ビーフ味)を10個ほど持参 → 全没収
  • 果物のお土産(りんごやみかん) → 植物検疫違反で没収
  • ソーセージ・乾燥ハムを真空パックで持ち込み → 肉製品扱いで没収
  • 「食品はありません」と申告したのに検出 → 罰金+警告書発行

✅ トラブルを避けるためのポイント

  • 申告書に**「snacks」「instant food」など正直に記入**
  • 英語表記パッケージの未開封製品のみ持ち込む
  • 肉・卵・果物・植物関連は一切避ける
  • 不安な場合は事前にBAIまたはフィリピン大使館の最新情報を確認

旅行者がよく間違える「お土産食品」の注意点

空港 女性

フィリピンでは「加工済みだから大丈夫」「お土産用なら平気」と思って持ち込む人が多いですが、実際には見た目ではOKでも中身が原因で没収されるケースが多発しています。

ここでは、特に日本人旅行者が間違いやすい食品を分類して紹介します。


🍜 カップ麺・インスタントスープ類

最も没収トラブルが多いのが、肉エキス入りカップ麺です。

成分表に

  • 「チキンエキス」
  • 「ポークエキス」
  • 「ビーフパウダー」

などが含まれていると、肉製品扱いになります。

没収される例:

  • 日清カップヌードル(チキン味・ビーフ味・ポーク味)
  • カレー味・ハヤシ味など肉由来調味料入りスープ

持ち込める可能性がある例:

  • シーフード味や野菜味など、肉成分を含まないもの
  • 成分表が英語で明記された商業包装品

💡 ポイント

空港職員は「BEEF」「CHICKEN」などの単語をチェックします。

英語表記のないパッケージは中身不明として没収されることもあります。


🧀 チーズ・バター・ミルク入り食品

乳製品も動物由来のため注意が必要です。未開封でも、加熱処理されていない製品はNGとなります。

没収例:

  • チーズ、バター、ヨーグルト、粉ミルク
  • 乳成分が主原料の菓子(生チョコ・バタークッキーなど)

OKの可能性があるもの:

  • 加熱済みのチョコレート菓子やスナック
  • 市販のキャンディ・キャラメルなど

💡 ポイント

「主原料が乳」だと没収対象。「副材料として少量の乳成分を含むスナック」は問題ないことが多いです。


🍊 果物・ドライフルーツ・ナッツ類

植物検疫の対象となるため、生果物は完全にNGです。

ただし、乾燥処理・商業包装された製品であれば持ち込み可能な場合があります。

没収例:

  • リンゴ、バナナ、ミカンなどの生果物
  • お土産用のフルーツバスケット(特に生のもの)

OK例:

  • 市販のドライマンゴー(真空パック)
  • 焙煎済みのナッツ、ピーナッツバター(商業製品)

💡 ポイント

「生」か「乾燥・加熱」かが分かれ目。お土産屋で売っているドライマンゴーは問題ありませんが、市場や農園で買ったものは没収されやすいです。


🐟 海苔・乾燥魚・シーフード製品

一見安全そうですが、未処理の乾物や魚粉は要注意。特に真空されていない干物は衛生検査対象です。

没収例:

  • 手作り干物・イカの一夜干し
  • 開封済みの魚粉、乾燥小魚

OK例:

  • 市販のツナ缶、真空パック海苔、味付けのり
  • 魚介エキス入りスナック(少量なら問題なし)

💡 ポイント

「真空パック済み+商業包装+英語成分表付き」であれば、通常は通過できます。


🎁 よくある“お土産トラブル”事例

旅行者が持ち込んだもの結果理由
肉入りカップヌードル10個全没収肉エキス成分を含む
手作りクッキー没収加熱不十分+英語表記なし
ドライマンゴー5袋通過商業包装・乾燥処理済み
ツナ缶3個通過加熱殺菌済み・商業製品
果物土産(りんご3個)没収植物検疫違反

💡 教訓

「真空・市販・英語表記・非動物由来」ならOKの可能性が高いです。

Q&A(よくある質問)

フィリピン 飛行機

Q1. レトルト食品は持ち込めますか?

レトルト食品でも、肉・鶏・豚などの動物由来成分を含むものは持ち込み禁止です。

「ビーフカレー」「チキンスープ」などは没収される可能性が高く、成分表示に“beef”“chicken”“pork”などの単語がある場合は避けましょう。

一方、野菜カレー・シーフード味・大豆ミート使用製品などは、商業包装・未開封であれば通過できる場合があります。


Q2. お菓子やスナックは問題ない?

ほとんどの場合、市販・未開封のスナック菓子やチョコレート類はOKです。ただし、手作りクッキーや生ケーキなどは加熱や成分が不明のため没収されます。

パッケージに英語表記がある製品を選び、「for personal consumption(個人使用)」と説明できる状態で持ち込むと安心です。


Q3. 飲み物や粉末飲料は?

ペットボトル飲料や粉末ドリンク(コーヒー・紅茶・ミルクティーなど)は、内容に動物由来成分がなければ持ち込み可です。

ただし、機内に持ち込む場合は100ml以下の液体制限があるため、スーツケースに入れて預け荷物として運ぶのが安全です。


Q4. 機内に食品を持ち込むのは大丈夫?

機内持ち込みは、液体制限(100ml以下)を守れば問題ありません。

ただし、肉類・果物・生鮮品は、機内で食べきらない限り到着時に没収対象になります。現地入国前に食べ終えるか、廃棄するようにしましょう。


Q5. 申告しなかったらどうなる?

申告しないまま禁止食品を持ち込むと、即時没収+罰金の対象になります。さらに、悪質と判断されると入国拒否や再入国制限につながるケースも。

「問題ないと思ったけど…」という理由は通用しません。少しでも不安があれば、申告書に“snacks”や“instant food”と正直に記入しておくのがベストです。


Q6. おすすめの「安全に持ち込める食品」は?

  • スナック菓子(ポテトチップス、クラッカー、せんべいなど)
  • チョコレート・キャンディ・グミ
  • ティーバッグ、インスタントコーヒー
  • 真空パック海苔、ふりかけ、調味塩

これらは、商業包装+非動物成分+英語表記付きであれば安全度が高く、実際に多くの旅行者が問題なく通過しています。

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