フィリピンへの旅行では、空港での荷物検査や税関でのチェックが厳しく行われています。
知らずに持ち込んだ物が禁止品だった場合、没収・罰金・最悪の場合は入国拒否となることもあります。
この記事では、フィリピンの法律と税関の最新情報をもとに、持ち込み禁止物・条件付き許可物・注意点を詳しく解説します。旅行前の確認に必ず役立つ内容です。
はじめに:フィリピンへの持ち込みルールは年々厳格化

フィリピンでは、入国時の税関(Customs)での持ち込み品チェックが年々厳しくなっています。
「知らなかった」「うっかり入れてしまった」では済まされないケースもあり、没収・罰金・入国拒否といったトラブルにつながることもあります。
特に、
- 医薬品
- 食品
- 電子機器
などは他国とルールが異なるため、事前に禁止・制限対象を確認することが重要です。
この記事では、フィリピン政府および税関局(Bureau of Customs)の指針をもとに、「持ち込み禁止物・申告が必要な物・注意すべき物」を詳しく解説します。
絶対に持ち込み禁止のもの

以下の品目はいかなる理由でも持ち込み禁止となっています。
発見された場合は没収・罰金、さらに刑事罰の対象となる可能性があります。
① 麻薬・ドラッグ類
- コカイン、マリファナ、覚醒剤、LSDなどあらゆる違法薬物
- 医療用であっても事前の許可なしでは持ち込み不可
- 体内への所持・密輸も重罪で、終身刑または死刑判決に相当する場合も
💡 注意:日本で合法な市販薬(例:鼻炎薬、睡眠薬)でも、成分に覚醒剤に類似する物質が含まれていると「持ち込み禁止」とされることがあります。
② 銃器・弾薬・爆発物
- 拳銃・ライフル・BBガン・モデルガン・花火・弾薬類すべて
- おもちゃの銃やライター型の模造品も税関で止められる可能性があります。
✈️ 航空会社によっては「登録・封印付きで預け荷物扱い可」となる場合もありますが、一般旅行者は持ち込まないのが原則です。
③ ポルノ・わいせつ物
- アダルト雑誌、DVD、性的描写を含む写真や映像
- 成人向けコミックや電子データ(スマホ・USB内)も対象
フィリピンでは宗教的背景が強く、性的描写を含む物の持ち込みは違法とされています。
税関検査で発見されると、その場で没収・調書作成となります。
④ 偽物・コピー商品
- ブランドバッグ、時計、衣料品などの模倣品
- 海賊版DVD、ゲームソフト、音楽データなど
これは知的財産権の侵害にあたります。
悪意がなくても罰則の対象になるため、コピー品は一切持ち込まないようにしましょう。
⑤ 政府が禁止する印刷物・政治的資料
- 反政府的な内容、暴力を助長する書籍・チラシなど
- 国家転覆を目的とする印刷物、または特定団体の宣伝資料
これらは国家安全保障法に基づく取り締まり対象となります。
条件付きで持ち込めるもの(申告が必要)

完全禁止ではないものの、条件付き・申告必須となっている品目があります。
特に金銭・医薬品・動植物関連は、無申告で見つかると没収の対象になります。
① 多額の現金
- ₱50,000ペソ(約13万円)以上のフィリピン通貨、またはUSD10,000相当以上の外貨
- 申告書(Declaration Form)に記入が必要
💡 未申告で発覚すると、没収または罰金・調査対象となります。
現金が多い場合は、到着前に「目的(旅行・出張など)」を説明できるようにしておきましょう。
② 医薬品・サプリメント
- 処方薬は**英文の診断書(Doctor’s Certificate)**が必要
- 1か月分を超える量を持ち込む場合は事前許可が必要
- 市販薬(頭痛薬・鼻炎薬・睡眠導入剤)でも成分に注意
💡 例: 日本の「エフェドリン」「コデイン」などが含まれている薬は、持ち込み禁止・または申告が必要なケースがあります。
③ タバコ・アルコール類
- タバコ:400本まで
- ワイン・ウイスキーなどアルコール飲料:2本(各1L以内)まで
※超過分は税金が課される場合あり。未成年(18歳未満)は持ち込み禁止。
④ 動植物・食品関連
- 肉類・果物・野菜・種子・ペットなどは動植物検疫証明書が必要
- 一部の加工食品(ドライフルーツ・缶詰)は申告すれば可
⚠️ 検疫証明がない場合、没収・焼却処分になることもあります。
よくある旅行者の勘違い・注意点

フィリピンの税関検査は、日本人旅行者にとって意外な落とし穴が多いです。
「日本では普通」「ほかの国では問題なかった」という感覚で荷物を詰めてしまうと、空港で没収・罰金・長時間の事情聴取になるケースもあります。
ここでは、特に間違いやすいポイントを一つずつ詳しく解説します。
💊 ① 市販薬や睡眠薬でも「成分」によっては違法扱いに!
日本でドラッグストアで買える風邪薬・鼻炎薬・睡眠導入剤の中には、フィリピンの**麻薬取締法(Dangerous Drugs Act)**で規制対象となっている成分が含まれているものがあります。
代表的な禁止・制限成分:
- エフェドリン(Ephedrine)
- コデイン(Codeine)
- デキストロメトルファン(Dextromethorphan)
- ジアゼパム(Diazepam) など
これらの成分は、麻薬や覚醒剤の製造に転用される恐れがあるため、処方箋なしでの持ち込みは違法行為とみなされます。
💡 対処法:
- 医師の英文診断書(Doctor’s Certificate)と処方箋のコピーを用意
- 飛行機内で服用する分は1〜2日分にとどめる
- 「薬名・成分表」を英語でプリントしておくと安心
🍖 ② 肉製品・果物などの食品は原則持ち込み禁止!
フィリピンでは、家畜伝染病や植物病害の防止を目的として、食品・農産物の持ち込みに厳しい制限があります。
特に以下のような食品は、空港の**検疫(Quarantine)**で没収される可能性が高いです。
禁止されることが多い食品例:
- 肉類・ハム・ソーセージ・ジャーキー類
- 生の果物や野菜(りんご・みかん・トマトなど)
- 自家製の漬物・おにぎり・パン類
- 魚の干物や佃煮(包装がない場合)
✈️ 注意点:
密封された市販品(ドライマンゴー・缶詰・スナック)は基本OKですが、パッケージを開封していると没収対象になります。
💡 対処法:
- 食品は原則「未開封・市販パッケージ」のみOK
- 「for personal consumption(個人用)」と申告すれば通過できることも
📸 ③ ドローン・高性能カメラは申告が必要な場合あり
フィリピンでは観光目的でのドローン撮影が人気ですが、一部の空港や地域で持ち込み制限があります。特に軍事施設・政府関連施設・空港周辺での撮影は厳重に禁止されています。
また、ドローンや大型カメラ機材を「商用利用」と見なされる場合は、税関で**Temporary Import Permit(仮輸入許可)**が必要です。
💡 対処法:
- 観光目的の場合は「for personal use only(個人利用です)」と伝える
- 撮影場所ごとにLGU(地方自治体)または観光局の許可を確認
- 軍施設や政府機関の周辺では絶対に飛ばさない
💊 ④ サプリメントや健康食品の持ち込みも要注意
ビタミン剤やプロテインなども「医薬品」と判断されることがあります。
特に、**ハーブ系サプリ(マカ・CBD・漢方成分など)**は、成分が麻薬指定されているケースも。
💡 対処法:
- 成分表を英語で印刷しておく
- 大量(ボトル数十本など)の持ち込みは避ける
- 「個人消費分」だけを携帯する
🪙 ⑤ 外貨・現金の申告漏れに注意!
USD10,000相当以上(または₱50,000ペソ以上)の現金を持ち込む場合は、**税関申告(Declaration)**が必要です。
未申告で発覚すると、資金洗浄・密輸疑惑として調査対象になることもあります。
💡 対処法:
- 到着前に税関申告書(Customs Declaration Form)に金額を記入
- クレジットカードや国際プリペイドカードを併用すると安全
💻 ⑥ ノートPC・カメラ・ガジェット類も「新品多数」は課税対象に
個人利用を超える数量(例:ノートPC2台以上、スマホ複数台)を持ち込むと、商用目的と見なされ課税される場合があります。
💡 対処法:
- 自分の使用目的であることを説明できるようにする
- 箱から出して「中古・個人使用」と見せるのが無難
- 販売目的と疑われる包装のままの持ち込みは避ける
🎁 ⑦ お土産として持ってきた日本の製品も没収されることがある
特に「肉を使った食品」や「アルコール入り化粧品」などは、検疫・危険物扱いされる可能性があります。
また、**液体製品(化粧水・香水など)**は、手荷物では100ml以下でなければ没収対象です。
💡 対処法:
- 液体物はチェックイン荷物にまとめる
- 成分が不明な製品は持ち込まない
- 現地で購入できるものは現地調達が安心
📑 ⑧ 「申告すれば大丈夫」という勘違い
一部の旅行者は「申告すればどんなものでも通る」と思いがちですが、禁止物は申告しても許可されません。
💡 申告はあくまで「条件付き持ち込み」のための制度です。
違法薬物や銃器・ポルノなどは禁止物に該当し、申告しても没収・罰則対象です。
🚨 ⑨ 「SNSで見た情報」が古いこともある
旅行系SNSやブログには、「この薬はOKだった」「この食品は持ち込めた」といった古い情報が残っています。
しかし、フィリピン政府は毎年ルールを改定しており、数年前の体験談は通用しません。
💡 正確な情報源:
- フィリピン税関局(Bureau of Customs)
- フィリピン農業省(DA-BAI / 検疫関連)
- 在フィリピン日本国大使館公式サイト
税関で止められた時の対処法

もし検査で止められた場合は、落ち着いて正直に説明することが最も大切です。
英語での説明例:
“I didn’t know it was restricted.”(制限されているとは知りませんでした)
“It’s for personal use only.”(個人使用目的です)
虚偽申告や隠匿は絶対に避けましょう。
最悪の場合、罰金・没収・入国拒否・拘束となることもあります。
安心して入国するためのチェックリスト

| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 💵 現金 | USD10,000以内にするか、超える場合は申告 |
| 💊 医薬品 | 診断書・成分表を準備しておく |
| 🍖 食品 | 肉・果物・植物は原則NG |
| 🚭 タバコ・酒類 | 制限数を守る(超過は課税) |
| 🧳 コピー商品・アダルト物 | 一切持ち込まない |
| 🐶 ペット・動植物 | 事前許可と証明書が必要 |
まとめ:知らずに持ち込むとトラブルのもと!
フィリピンでは、日本と同じ感覚で物を持ち込むとトラブルになることがあります。
特に薬・食品・電子機器類は注意が必要で、「少しくらいなら大丈夫」では済まされません。
旅行前に一度、フィリピン税関局(Bureau of Customs)や外務省の最新情報を確認しておくことをおすすめします。
正しい知識を持って準備すれば、入国審査もスムーズに通過でき、安全で快適な旅が楽しめます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 市販薬やサプリメントは持ち込めますか?
A. 基本的には可能ですが、成分によっては制限があります。英語の成分表や診断書を持参しましょう。
Q2. ペットを連れて入国できますか?
A. 検疫証明書と輸入許可書(Bureau of Animal Industry発行)が必要です。手続きに数週間かかるため事前準備が必要です。
Q3. 食べ物をお土産として持ち込むのは大丈夫?
A. 加工済み・密封パッケージ(例:ドライマンゴー)はOKですが、生鮮品は原則禁止です。
Q4. ドローンを持ち込んでも問題ありませんか?
A. 撮影目的や機材の種類によっては、申告と許可が必要です。観光地によっては飛行制限エリアもあります。
Q5. 高額の現金を持ち込んだらどうなりますか?
A. USD10,000相当以上を申告なしで持ち込むと没収・罰金の対象になります。申告書に記載すれば問題ありません。
Q6. 検査で止められたらどうすればいい?
A. すぐに正直に説明してください。英語で「It’s for personal use.」などと伝えれば理解してもらえる場合もあります。

